トイレのドアが勢いよく閉まった。
豪快な放屁が響く。
刹那、玄関のドアがノックされた。
妻は困惑した。
「まただわ…なんてしつこいンでしょ。昨日も一昨日も一昨昨日も…」
なおもノックは続く。
「奥さ〜ん、いらっしゃるンでしょ〜。話聞いてくださいよ〜」
妻はたまらず、トイレに居る亭主に声をかけた。
「あなたぁ! ちょっと出てくださらない?」
亭主は、佳境であった。
「ンッ…何だぁ!!」
「勧誘がまた来たンですの。代わりに断っていただけないかしら!」
「ったく! そんなことも一人でできンのか、アイツは…」
トイレから勢いよく水の流れる音がする。
「どうせ新聞屋だろっ」
(渋谷)

  桜木町方面
   

   
営団・銀座線方面