小高い丘に広がった空き地に、老若男女が三々五々、集まってきた。
リーダー格らしき20代後半の女性が腕時計を見た。
「これで全員ね」
集まったのは、総勢約20人といったところである。
「さぁ、みんな、手を繋いで輪になるのよ」
女性は声をかけた。
他の者たちはリーダーに黙々と従っている。
「信じて! 今日こそ必ず逢えるはずよ」
丘の上に、大きな人の輪ができた。
中心に立つのはリーダーである。
「さぁ、念じて! 余計なことは考えないで」
全員が空を凝視する。
空は暮れかかっている。
星が一つ、また一つ、現れ始めた。
「あそこよ!」
リーダーが輪の中から天空を指差した。
「さぁ、声に出して祈るのよ」
輪からブツブツと念仏らしき声が漏れ始めた。
「ダメ! 貴方たちは逢いたくないの? もっと大きな声で」
ブツブツが大きくなった。
「そんなんじゃ、来てくれないわ。もっと大きく! さぁ」
次第に声が揃い始めた。
「そう、もっともっと、大きな声で!」
輪の声は、大きな唸りになった。

『カミ〜〜〜ン! 土星人〜〜〜』

(亀戸水神-15.08.17)

東あずま


亀戸