「夕べは呑み過ぎたか…」
濱課長は珍しく寝坊してしまった。
朝食を口にしつつ朝刊の見出しだけを忙しく目で追う。
「あっ、志賀先生！」
彼は死亡記事欄を見て絶句した。
彼が若いころ、ひどく世話になった師の訃報が載っていたからである。
「昨年奥さんを亡くしてから急に元気をなくしてたけれど…
オシドリ夫婦だっただけに辛かったンだろうなぁ…」
新聞にも妻との関係にさらりと触れていた。
『志賀氏は苦楽を共にした夫人を失ってからは−』
(東白楽)

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