酩酊状態の洋子は帰りの東横線にどうにか乗り込んだ。
先ほどまで一緒だった濱課長の脂ぎった顔が浮かぶ。
酔いに任せて云いよる課長の甲高い声が耳朶に蘇る。
鼻腔には腐りきった柿の臭いが。
緊張から解放された彼女は、身体に残る課長の気配と、混雑した車内の揺れと効き過ぎる暖房に気分が悪くなってきた。
とりあえず到着した駅で降りるしかない…
電車が止まり、洋子は客を押しのけて外に出るとベンチにへたり込ンだ。
顔が蒼い。
「気持ち悪いよ〜。ここは何処なンだろぅ…」
囁きを聞き、なぜかチャイナ服を着た老人が近づいてきた。
「吐く、ラクあるよ」
(白楽)

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