綱島温泉の割烹「月亭」では、東横商事の歓迎会が始まろうとしていた。
だが盛り上げ役のコンパニオンは開宴時間が近いと云うのに一人も来ていない。
女将は宴席のしきたりを知らない彼女たちが正直、好きではなかった。
玄関で業をにやす女将。
そこへ今時の娘たちの叫声が響いた。
あっけにとられる年配の女のことなどお構いなく、たちまちにして大広間から、女に媚びる男たちの野卑た怒鳴りにもにた騒ぎが始まった。
立ち尽くす女将は腹立ちまぎれに愚痴る。
「履き物は…もっとすみぃよしとかないと」
(元住吉)

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