「見つかったか!?」
「ダメです!」
「バカ者! 自信を持って云うな!!」
「は、はい! 申し訳ありませんでした」
ヘソ曲署捜査一課は、十年の歳月を費やしてようやく組織のアジトを見つけた。
しかし踏み込んだ時には、既にモヌケの空だった。
どうやら情報が筒抜けだったようだ。
重苦しい空気が流れている。
「ヤツらはどこに消えたんだ!」
そこへ捜査一課の外線直通であるダイヤル式黒電話が鳴った。
主任刑事である伴が受話器をむしり取る。
「はい、こちら捜査一課…」
「おぉ! 判ったか?…」
「何だって?」
「船で…」
「何てこった…」
若い刑事が横ヤリを入れる。
「居場所が判ったのですか?」
「密航…」
電話に向かう伴刑事の声に刑事たちが反応を示す。
「密航?」
「密航!」
「密航!!」
「密航っ!?」
血気にはやる老練な刑事たちが電話のやり取りに聞き耳を立てる。
「キャツらはどこへ密航を企てたのですか!?」
伴は鬱陶しげに電話に集中する。
「密航…島へ?…」
(三越前-14.05.06)

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