「伴刑事、もう犯人は袋の鼠ですね」
「おう! オレはこの日のためにどれだけ時間を費やしたことか」
二人はエレベーターを待っていた。
伴刑事はしかしなかなか降りてこないのでかなりイライラしている。
「遅いですね…」
「あぁ、遅い! 遅過ぎる!!」
伴刑事は何が嫌いと云って、ジッとしているのが一番の苦痛であった。
「おい!」
「は、はぃ…」
新米刑事は伴刑事との濃い付き合いで次の言葉が分かっている。
「階段でいくぞ!」
「(やっぱりなぁ…)」
「な、何か云ったかぁ?」
「いえいぇ! さぁ行きましょう!!」
「うむ」
二人は非常口の扉を開け放ち、力強く階段を駆け登り始めた。
 ◇ ◇ ◇
「はっはっ=3」
伴刑事は圧倒的速さで登ってゆく。
「ひぃひぃ=3」
新米刑事が必死で後を追う。
「伴刑事〜っ…」
「情けないヤツだ」
「もうダメですぅ〜…」
「貴様も刑事のハシクレだろう!」
「そんなこと云ったってぇ」
「もうすぐ屋上だ! 頑張れ!!」
「はぁはぁ…お、屋上??」
「おぅ、今いったい何階だ?」

(中井-14.10.13)

「伴刑事ぃ、東京タワーには屋上とか階数とかってないと思うんですけど…」

 落合南長崎

   
   
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