伴刑事と新米刑事は現場に急行した。
足を踏み入れた伴刑事は開口一番うめく。
「うわっ! こいつは凄惨だ」
「伴刑事、また我々の登場ですね」
「しかたないだろ、このヤマを解決できるのはオレたちしかいないんだから」
「ウプッ!」
「何が可笑しい?」
「だってこの間、もう最後だって」
「請われたらなぁ、たとえメンツを捨ててでも受けてたつのが男ってものよ」
「そんなもんですかぁ?」
「メンツなどオマエには分からんだろうなぁ」
「失礼ですね! 先輩は」
「おっ? イッチョマエに怒るか?」
「挽肉のカツのことでしょ」
「???」
「メンツカツ」
「………」
「先輩、突っ込んでくださいよぉ」
「知らん、それよりこいつだ」
「見事なさばき方ですね」
「しかし、ここまでやるか?」
「どうやら刃物は刺身包丁のようですね」
「どうして分かる?」
「だって、こうして三枚におろすには」
「出刃の可能性だって否定できないぞ」
新米刑事の携帯電話からケミストリーの音楽が流れた。
「チッ、こんな時に不埒な音楽を流しおって」
伴刑事は近ごろの若手歌手、ことに男性歌手の軟弱な歌が嫌いでならない。
「はぃ! …は、包丁を…今朝…角の店で…分かりました」
(ピッ)
「話はだいたい分かった」
「伴刑事…」
「犯人の野郎」
「どうやら刃物を買ってすぐにココにやってきたようですね」
「あぁ、即日凶器使用だな…」

(国立競技場-15.0121)

   代々木

   
   
 青山一丁目


「はい! OKで〜す!!」
「お疲れさまでしたぁ〜〜〜」
「お疲れさん!!」
「いやぁ、最後は苦しかったですねぇ」
「まぁ、こんなもんだろ」
「さぁ、みんな行くぞ! 打ち上げだ、打ち上げ!!」
「どこにしましょうか、先輩――」

…ガヤガヤガヤ…(FO)