自宅に“押し込め”の刑で蟄居している荒鳩議長は、よるべない生活を送っていた。
(ん? 表現が矛盾しているような…ま、いっか)
「押し込めか…退屈だぁ」
そんな淋しそうな議長を、自由が丘からやって来た烏が興味深そうにみつめている。
「押し込めか…」
「カァカァ」
「ほほぉ、烏め、さては人間の言葉が分かるか」
「ガッガッ」
「よしよし、では、生揚げの天ぷら」
「クワッ?」
「ワハハ、では、押し込め」
「カァカァ」
グラ……
烏と禅問答を繰り返しているその時、地面が揺れた。
「押し込め」
「カァカァ」
グラグラグラ……
ザカザカザカ………
揺れ続ける地球に怯えた烏は飛び立っていった。

(牛込神楽坂-14.11.19)

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