ワンマンなオーナー社長率いる弾正状製薬の会議室で、新製品の企画会議が開かれている。
そこでは今日も進行役の荒鳩が社長から糾弾されていた。
「議長…いったいアンタんとこは部下をどない教育してまんねんな?」
「は、そ、その…」
「何をやってまんねんおんどりゃぁ!!」
社長は灰皿を投げつけた。
「こんなことでは我が社はいつまでたっても業界ナンバーワンにはなれへん…」
「……」
「黙っとらんで何とかいったらどないや、アイデアを出さんかぃ」
会議室は社長の怒気の高まりに反比例して静まりかえっていった。
「こんな会議は時間の無駄や…」
「私の準備不足で申し訳ありません」
「申し訳ないやあらへん」
「責任を取ってもらうで」
「クビでしょうか」
「あほっ」
「降格でしょうか」
「どあほっ」
「減給でしょうか」
荒鳩は覚悟を決めた。
ワンマン社長が口を開いた。
「当分、自宅に押し込めやな、議長」

(牛込柳町-14.06.23)

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