東武亀戸線は、墨田区曳舟と江東区亀戸を結ぶ駅数5駅の短い路線だ。
その日私は、その東京ローカル路線の曳舟駅から二つ目で降り、街を歩いた。
天邪鬼の私のこと、表通りは好きになれないので、いつものクセで歩いたのは路地裏だ。
さすが墨田区、街は家族経営らしい小さな工場が並んでいた。
街がどことなく油臭いのは、そのためだろう。
昼休み時分で、とても静かだった。
5分も歩いたろうか。
油臭を打ち消す、炒め物のいぃ香りがしてきた。
匂いの元は、洋食屋さんだった。
私も腹が減ってきた。
今日のお昼はココに決めた。
本日のお勧めの書かれた看板がまた、大いにそそられたからだ。

「当店が本家本元! 元祖老舗!!」

よくぞしつこく並べたものだ。
何が本家なのか。

「なるほど…」

その先を読んで、私は一人ごちた。

「小村井's オムライス」

(小村井-15.10.01)

※小村井=「おむらい」と読む。

曳舟


東あづま