マキコちゃんは、
口ではムネヲちゃんをとことん嫌っているようなことを云ってますが、
その実、どうやらあの二人…。
今日は東京の東の外れのそのまた外れにある都立水元公園でデートのようです。
「マキコちゃん、寒くないでチュか?」
「う、ううん」
「どうしたんでチュか?
八重歯にモノの挟まったような云い方はイヤでチュよ。
悩みがあるンでチュか?
何でも云ってくだチャい。
いつでもこのムネヲの胸ヲに飛び込んできて欲しいでチュ。
頭髪はこんなスダレ状態でチュけど、
ムネヲの胸ヲは、
ほら、フサフサしてるンでチュよ。
聞いてまチュかぁ?」
まったく見ていないマキコちゃんです。
ムネヲちゃん、胸ヲはだけたまま存在が浮いています。
「アタシさぁ、父が新潟でしょ」
「やっぱりボクの話をじぇんじぇん聞いてないでチュね」
「アタシさぁ、DNAって云うのかな、
言葉が少し訛ってなぃかしら」
「少しじゃないと思いまチュけど…」
バシッ〜★彡
「マキコちゃ〜ん、
いきなり痛いでチュよぉ」
「ムネヲが絡んでくるからよ」
「絡んでまチェンよぉ。
絡まりたいでちゅけど…」
バシッ〜★彡
「アタシさぁ、
威勢のいぃ江戸弁に憧れてるの☆彡」
「え、江戸弁でチュかぁ?」
「てやんでぇ、ベラボウめ!!」
「いきなり拳を振り上げないでくだチャい!
またぶたれるかと思ったでチュ」
「ムネヲはいぃわよね。
その赤ちゃん言葉がすっかりムネヲのアイデンティティになってるから」
「あ、愛!
ムネヲの言葉には愛があるでチュか!!」
「アイデンティティ!!
まったくもう、
ほんとに自分に都合のいぃ耳なんだから」
「福耳って云われまチュ」
「そういう意味じゃなくてぇ」
「江戸弁でチュね」
「てやんでぇ、ベラボウめ!!
ってアタシ、それしか知らないの」
「江戸弁ならボクが教えてあげるでチュ」
「何云ってンのよぉ、
赤ちゃん言葉のムネヲに江戸弁が喋れるのぉ?」
「ケッ、オイラを誰だと思ってるンでぇ!
見損なってもらっちゃぁ困るぜ!!」
「ちっとも江戸弁に聞こえないけど…」
ツバキをいっぱい撒き散らせて巻き舌を効かせるムネヲちゃん、
まったく迫力がありません。
と、次は自分の幼稚園バッグの中をまさぐり始めました。
「ちょっと、何そっち向いてゴソゴソやってンのよ!」
「これでチュ!」
「あっ、アタシのブラ…恥ずかしい!
何でムネヲがそんなもん持ち歩いてるの!!
気持ち悪い!
返して!!」
「『返して』じゃなくてでチュねぇ、
江戸弁は『けぇしやがれ!!』でチュ」
「け…けえしやがれ?」
「そうじゃないでチュ!
もっと勢いよく『けぇせっ!!』でチュ」
「け…け〜せっ…?
ねぇ、けぇせ…どぉ?
けえせ…かな?
間違いぃ?」
「むふふっ、
云えまチたね。
でも、けぇしまチェ〜〜〜〜ん!!!」
(京成金町-16.12.09)
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柴又