山佐家に再び朝が訪れた。
−朝はどこの家にもやってくるのであるが−
キッコは例によって、納豆をグルングルン引っ掻き回している。
細かかった糸が、含まれた細かい気泡によって次第に太くなりはじめた。
キッコはさらにネチャネチャやっている。
太い糸の切れがよくなってきた。
キッコはしつこくグチャグチャ混ぜている。
豆は挽き割り状態になってきた。
ころはヨシ、とばかりにマヨネーズの容器を鷲掴みにした。
チューブからマヨネーズを勢いよくヒリ出す。
彼女は満足げである。
そう、キッコは名うてのマヨラ〜だったのである。
納豆を再びゆっくりと攪拌しだした。
そう、そしてキッコは納豆に関してはこだわりのネリマ〜でもあったのである。

(練馬-14.06.02)

  豊島園

   
   
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