「ナンデェ、ソンナコトカ、ナンテ簡単ニカタツケチャ、タメナノヨ!」
「タメナノヨって、そればっかりだなぁ、おめぇさんは」
「タメナモノハ、タメ!」
「そんなこと云ってると、おめぇさんがた、ジリ貧になるぜ」
「???」
「ん? いやぁ、こっちのこった」

「ガサ入れだぁ〜〜〜〜!!」

ドカドカと奉行所の与力たちがなだれを打って押し寄せてきた。
謎の中国人は、とたんに顔色が悪くなった。

「そのほうは、周、舞でんな」

『なんでぇ、役人までクニャクニャした言葉ァ、使いやがる』
毒づくヰ蔵さん。

「シェ〜シェ〜。
ワテ二何ノ用ダッカ?」
「不法入国であんたはんを逮捕しまんねん!
神妙にお縄につかないとタメになりまへんでぇ」
「アンタラハ、ワテヲドナイシマンネン」
「まぁ、本国への強制送還は免れまへんな」
「ソ、ソンナ…許シテオクンナハレ。
コノ通リデンガナ」

「いっくらお役人に頼んでみても、さっすが京の警察機構だ。
ノラリクラリ云いながらも悪いモンは悪い、と罪を許さなぃ」
「そやろ」
「ん? 賭ヱ門…」
「どうやら京の警察を舐めとったな。
周…舞とやらはいっくら頭下げてみたところで、みぃや、刑はチヂマンでぇ〜」

<続>

(みやけはちまん-16.5.27)

宝ヶ池
八瀬比叡山口