「誰だっ!」

ようやく自分が肩車をされていることに気づいたムネヲちゃんです。

「クックック」
「桜田淳子か?」
「それは、クッククックー」

ナヲキくんは、多くを語りません。
いかにも人の良さそうな笑顔で、ただ忍び笑いを続けるだけです。

「なんとか云え!」

つい大きな声を発してしまったムネヲちゃん。
慌てて口を押さえますが、もう遅かった。
風呂場の窓が、再び開きました。

「誰かいるの?」

間一髪、窓の下の壁に、ヤモリのごとく貼りついたムネヲちゃんとナヲキくんです。

「どうやら他人の空耳ね。おー、外は寒いわ」

勢いよく窓が閉まりました。
と、今度は口ではなくて、鼻を押さえるムネヲちゃんです。
続いて、盆の窪あたりを空手チョップで叩き始めました。
マキコちゃんの裸体を想像して、再び鼻血ブー状態です。
ナヲキくんはその姿を見て、鳩になります。

「クックック。たまってンなっ」

(多磨-24.04.25)

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